AAAI-22 斜め読みメモ
トップ会議に採択された研究を眺めるだけで、1mmくらいはAI/ML系のトレンドをキャッチできるのではないかと思い、 AAAI-22の採択論文の中からいくつかピックアップして斜め読みしてみました。 内容に不備や間違いがあれば"優しく"コメントいただけると嬉しいです。
以下に個人的に面白いなと思った研究の内容を、簡単にメモ書きします。
STDEN - Towards Physics-Guided Neural Networks for Traffic Flow Prediction
- 交通予測に対して、物理的な法則と、NNのアプローチを融合させた手法を提案
- 位置エネルギーと運動エネルギーの関係性から定式化したものを、Neural ODEの入力にして時系列予測を実施
- 3つの交通データセットで実験を行い、既存手法よりも良い予測精度が得られた
- 今回読んだ論文の中で、個人的に最も面白いアプローチだと感じた
Graph Neural Controlled Differential Equations for Traffic Forecasting
- controlled Differential Equation(微分方程式の一種)を活用したneural CDEとGNNを組み合わせて、交通予測タスクを実施。
- ノードの交通量を時系列予測
- RNNとGraph Convolutional Networkの組み合わせは多いが、上記の組み合わせは初
- Neural CDEが時系列上のイレギュラーに対して頑健らしく、欠損値があってもモデルが動く
DiffSinger - Singing Voice Synthesis via Shallow Diffusion Mechanism
- 音声合成の研究。
- マルコフ連鎖をベースにしたモデルを提案
- 単純な損失の最小化問題や、GANによる音声合成だと、学習が安定しない、不自然な合成になるなどの問題があった
- 推論を高速化するため、イテレーションの初めの方でground-truthとのメルスペクトログラムの差を学習に活用する手法を導入
- 音声合成のタスクにおいて、Feed Forward TransforerやGANベースの既存手法に比べて、MOSやMCDの精度が向上
Out of Distribution Data Detection Using Dropout Bayesian Neural Networks
- dropoutを使用したBNNで、分布から外れたデータ(OOD)の検出手法を提案
- 中間層のembeddingの距離をユークリッドではなくcosine距離で定義した
- 画像、自然言語、マルウェア検出の3つのタスクで、OODを検出できたかAUCとAccuracyで比較
Data-Driven Real-Time Strategic Placement of Mobile Vaccine Distribution Sites
- コロナワクチン接種率が低いデモグラフィックに接種してもらうために、週次でワクチン接種会場のレコメンドを行うシステムを開発
Market Design for Drone Traffic Management
- ドローンを社会実装していく上で、問題となっている要素などをまとめて、今後の研究テーマなどに活用することを目的としたサーベイ論文のようなもの
- ドローンを社会実装していく上で重要な観点は次の5つ
- efficiency
- 何を持って効率性とするか、どのように測定するのか
- 先入先出法のような手法では、緊急事態や、直近に生じたニーズに対応できないというか課題
- fairness
- 金、順番など、どの要素を持って公平性を担保するか、政府などが決定する必要あり
- simplicity
- incentives
- 悪意のある行動に、他のユーザーの行動が萎縮してしまう場合もある
- scalability
- 規模を大きくするには、システムを自動化していく必要があるが、NP困難などの計算コスト的問題が発生する
- efficiency
FairFoody - Bringing in Fairness in Food Delivery
- フードデリバリー従事者(ギグワーカー含め)の給与が平等ではない問題がある
- 地域によって収入に差があることが分かった
- これらの問題を解決するため、エージェントを機会平等になるよう配置する手法を提案
- あまり理解できず読むのをやめてしまった...理解したいので分かる方いたらコメントください
終わりに
特にまとめとかもないのですが、個人的には、物理法則を機械学習に導入している最初の2つの研究は(ベースとなっている既存研究含めて)面白いなと思いました。 特に手法が交通などのドメインに特化しているならば、それらの動きを特徴量やモデル内部のフローに導入するだけで、大きく表現力が上がりそうです。この辺りはAuto MLでも難しく、それゆえ人間による工夫の余地があって楽しそうです。